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物語性(その1)
ここのところ、創作において大切にしようとしていることの一つに、「物語性」というのがあります。つまり、作品に「物語があるか」ということです。でもそれは、「ドラマがあるか」ということとはちょっと違います。

私は、創作の便宜上、ドラマは物語の中に含まれるけれど、ドラマだけでは物語にはならない、というふうに区別しているのです。これはあくまで私の中での定義ですから、異論もあるとは思います。その定義は以下のようになります。

ドラマは日常(通常=norm)からの逸脱、ズレの描写。

一方、物語は、normからドラマを経て、新たなnormへと還っていくストーリー。こんなふうに思っています。

たとえば、こういうことです。

「乗っていた飛行機の機体が突如大きく揺れ始め、その後左右に大きく揺れながら急激に高度が落ちていった。乗客は叫び、慌てふためいた」というのがドラマ。Normからのズレ。非日常的な状況。

「家族の待つ東京に帰ろうと、いつものように金曜日の最終の飛行機に乗った。すると、乗っていた飛行機の機体が突如大きく揺れ始め、その後左右に大きく揺れながら急激に高度が落ちていった。乗客は叫び、慌てふためいたが、乗務員の冷静な誘導により、各自が何をしなければいけないかを自覚した。短い時間に私は、これまでの人生を振り返り、家族の幸せを願った。もう誰もが死を覚悟したとき、飛行機は太平洋上に着水し、乗客全員が無事であった」というのが、物語。通常から「ズレ」て、ドラマを経て、そして「解決」される。

この即席でっちあげ「物語」は、たまたまハッピーエンドですが、もちろん、必ずしもそうである必要はありません。

そして私は、物語性の核が、この「ズレ」と「解決」にある、と考えているのです。

(つづく)

(注:一部の方はご存知の、もう一つのブログと同じ記事ですが、途中から違う話にしいこうと思っています)
by eight2one | 2006-03-02 13:41 | 作曲法
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