中沢新一さんの「ミクロコスモスI, II」(四季社)を読みました。
同氏の本は数多く読んできましたが、この2冊はそのなかでもトップクラスに好きです。
まず、作曲家バルトークが息子のピアノ練習曲として、少しずつ書き足していった小曲たちが、膨大なピアノ曲集「ミクロコスモス」になった、そのような本にしたいというコンセプトに惹かれました。
それに基づいた編者による小文やスピーチのセレクションも、なかなか心地いい切り口に感じます。
本の質感や、装填、写真の印刷などのクオリティもさりげなく高く、手元においてときどき読み返したくなりそうです。
奇抜なタイトルでとにかく次々と消費することを目的とした本が巷に溢れるなかで、このようにちょっとした「宝物」になりうる本の存在はうれしいですね。私もこのような「宝物」になるようなCDやら写真集やらを世に出したいものです。